鹿児島黒豚をしのぐ“英国黒豚”
事実は示す100%BB英国黒豚の発育は抜群! 旨味もトップ!
鹿児島では、英国黒豚は発育が悪いという研究結果が報告されています。
「かごしま黒豚の背脂肪厚の調整方法と最新の分析法による黒豚肉の肉質特性」(2018年革新的技術開発・緊急展開事業)の中で、かごしま黒豚の肉質の試験で系統豚3系統が次のように比較されています。
1. 基礎豚
ニューサツマ:B2 基礎豚の一部に英国産バークシャー
サツマ2001:B3 基礎豚は鹿児島在来黒豚
クロサツマ2015:B4 基礎豚は鹿児島在来黒豚
2. 発育・産肉能力
発育・産肉能力 ① 増体: B3・B4 >B2
② ロース断面積:B4 > B3 >B2
③ 背脂肪厚: B2 > B3・B4
3. B2(英国黒豚が一部入る)の特徴(B3・B4との違い)
(1) 理化学検査 ア ロース芯の赤色(a値)や水分 : B3・B4>B2
イ ロース芯のビタミンB2 : B2>B3・B4
ウ 脂肪融点 : B3・B4>B2
エ ロース芯の代謝物質 B3・B4と量の異なる物質多い
(2)食味評価 脂肪が甘く旨味が強い
<まとめ>
1.3つの系統豚(B2・B3・B4)は、造成を開始する際、集められた基礎豚にちがいがある。-B2・B4は、在来豚のみ使用し、B2は一部に英国産バークシャー種を使用
2.3系統豚を比較した結果、B2は「増体が遅く、ロース断面積が小さく、背脂肪厚が厚い」という産肉性の特徴がみられ、理化学検査ではB3・B4と異なる項目が多かった。
3.系統豚には、農家やバイヤーの要望として、格付に配慮した薄めの背脂肪厚とバイヤーに配慮した大きなロース断面積がもとめられてきたが、近年、ロース断面積が大きいと黒豚の特徴である軟らかさやジューシーさが低下するといわれている。
4.B2とB3・B4との相違を見ると、産肉性だけでなく、肉質特性にも基礎豚の違いが反映されている可能性がある。
以上、「革新的技術開発・緊急開発事業」平成28年度~平成30年度より
この研究を見たとき、特にニューサツマが英国黒豚の血統であるかのような表現で、雄6系統・雌10系統ある、英国黒豚の遺伝的多様性を考慮しない、たまたま造成されたニューサツマを英国黒豚の代表であるような記述に現場から再考を求めたいと思います。
一番は、どの系統の英国黒豚を使用したかわかりませんが、増体が遅いという点です。
我々黒豚振興エージェンシー 信州BBファームでは、2月より、毎月10頭づづ長野県内の食肉センターに肉豚として、去勢豚 選抜落ち雌を出しています。
豚はもちろん100%の英国黒豚 雄は、去勢 雌は発育がやや劣るものです。仕上げの餌は、TDN74の肥育用ではなく、種豚用の餌で仕上げ出荷しました。
種豚場なので、オーエスキー、PRRSは陰性ですが SPFではありません。サーコワクチンは接種していません。3月、4月分のデーターは下記の通りです。
3月4日 北信食肉センターで、当日搬入、当日と畜
去勢豚9頭 雌1頭 枝肉平均重量 77kg 平均出荷日令 203日
4月4日 北信食肉センターで、同様
去勢豚8頭 雌4頭 枝肉平均重量 80kg 平均出荷日令 209日
脂肪は、すべて、厚です。
歩留まり65%で計算すると 3月出荷分 生体重 118kg
4月出荷分 生体重 123kg
鹿児島の研究では枝肉体重 出荷体重ともにわかりませんが、B2ニューサツマ=英国系ではなんと、出荷適齢体重になるまで257日±13日。
なんと、わが信州BBファームの100%BBより2ヶ月も余計にかかっている!
英国系は、増体が遅いというのは、明らかに研究手法の大間違いであり、純系英国黒豚の能力を過小評価するものといえます。
|
2月にと畜した、BBのロース断面
冷蔵庫の中の撮影でしたが、脂肪の美しさが、きわだつ。
食肉業者の評価も,脂肪のつき方もよいし、ロースの芯も、適度であるとの判断で格付に関係なく,出荷豚全部を上物扱いで精算してもらう
|
|
脂のやや厚い豚のロース断面
BBの脂身は、通常豚より厚く、
枝肉に対する、精肉歩留まりは65%(通常は75%ぐらい)
それでも、この脂肪を生かし、上質の加工品(ハンバーグ・しゅうまい・餃子など)の付加価値のある生産物にしたいとのこと
|
この、研究で評価できるのは、英国黒豚の肉質の良さで、在来豚より脂肪、肉の味では、良い評価をえています。
特に、脂肪の融点が低く、さらっとしていることから、焼き肉にしたとき、BBを食べた若い女性客から、「飲めるようなさわやかな脂(あぶら)」との高い評価を得ました。