科学的根拠のない発生農場に対するワクチン接種豚を含めた殺処分は、養豚産業の衰退を導き出すジェノサイド(集団虐殺)である!
2022年7月23日、栃木県で母豚5,000頭規模の農場で豚熱発生のニュースが飛び込んできた。例によって全頭殺処分。近接し周囲にある22の養豚農場は「ワクチン接種済み」なので移動禁止にもならず、そのままおとがめなし。同じ経営の農場でワクチン接種済みで発症する可能性のない豚も、2カ月以上かけても殺処分するという。
家畜伝染病予防法では、21日もしくは28日の経過観察後に発症がなければ、感染のおそれがないことで移動禁止からの開放と通常の生産への復帰が謳われている。
殺処分に2カ月近くかかるなら、アニマルウェルフェアの立場からも、殺処分までは通常の管理が行われるはずである。ワクチン接種豚でも、半分近くが21日以降の「処分」になるはずである。これこそ、どこかの国のように、同じルーツをもつ民族を「ネオナチ」とし、無差別の殺戮をすすめているのと同様であり、国の欺瞞に満ちた豚に対する「ジェノサイド」である。
ワクチン接種を進めるなら、こんなばかげた豚熱対策は直ちに中止すべきだ。
自衛隊の「災害出動」は、今回は見送られ近県各県からの「応援」で酷暑の意味のない「殺処分」で済まそうとしている。
豚熱の発生は、災害でなく、人災である。洪水で水がひきつつある川の堤防のかさ上げをしようとするものである。「発生農場にいる豚はすべて患畜、擬似患畜である」(家畜伝染病予防法)とのあいまいな規定で、発症の可能性が限りなくなっているワクチン接種豚までを多額の国費(埋却で1頭10万円の処分費がかかっている)ことは国民の税金を浪費する以外のなにものでもない。しかし、この問題に対し積極的な殺処分中止の声が、特に家畜衛生関係者からあがらないことは、さらなる危機ではないか。
破産してるんじゃないの??!!
豚熱ワクチン「信仰」にガンジガラメの疫学調査
解決はマーカーワクチンしかない!
昨年の春以降 ワクチン接種済みの大規模で衛生対策もしっかりしているといわれてきた農場で豚コレラ=豚熱の発生が相次ぎました。
現在まで殺処分された豚たちの数は30万頭を超え、2010年宮崎で発生した口蹄疫の際に防疫のために殺処分された豚の処分数を超えました。
一方、感染地域で野生イノシシとの接触可能性が多いといわれている大手に比べ設備や防疫体制で劣る開放豚舎が多い中小零細の養豚場では、一昨年以来ほとんど発生がありません。2020年6月に、「一番感染の可能性が高いとして」放牧の禁止を打ち出し、これを広範囲の反対により農林水産省は撤回しました。しかし、その後も感染が相次いだのは、衛生環境もよいオールイン・オールアウト体制が組める最新のウィンドレスの設備を持つ農場がほとんどだといえるでしょう。
疫学調査での発生原因として挙げられるのは、防護フェンスの破損、ネコ、ネスミ、野生動物、野鳥 通路を歩かせての豚、配餌車の移動、ついには屋根に止まった野鳥の排泄物が雨に溶けその雨水が畜舎に入りこみそれからの感染??との「ウルトラC」の説明まで出て来ています。
今回、82例目の農場では、母豚と哺乳、離乳仔豚に出て、養豚生産者に大きな衝撃を与えています。これまでは、30日齢と60日齢の2回打てば豚熱は防げるとしていましたが、今回は免疫の穴を無くすため、母豚に補強を兼ねて2回打ちという議論さえ出てきています。
限りなく100%を目指さなくては、豚熱の防圧はできないのでしょうか?
これまでは、対象グループ全体の70%が抗体を獲得していれば、発症はまずないとされてきました。ところが、ワクチン接種済みで抗体も上がり感染リスクゼロの豚に対してもウイルスを出す豚もいる????とのことで、殺処分している。
しかし、近接していて共通の道路、設備を使用していても、経営が違い、豚舎が違っていれば、「ワクチン接種済み」であれば、3日間の観察と移動禁止の後は、なんの問題もなく移動、出荷が再開されている。
79例目では、ワクチン接種済みでも79例の農場からでたというだけで、移動先の農場で観察期間もなくその豚の殺処分と農場の28日の移動禁止が課されています。
家畜伝染病予防法の法律条文を読めば、殺処分されるのは患畜、擬似患畜、でこれらの豚がいる農場の豚はすべて同等とみなされるので、本来は移動先の農場の豚も殺処分対象となるはずですが、「28日の観察に留め置かれています」???
そもそも、ワクチン接種済みで発症の可能性もないのに「国家防疫」の名の下に、理由もなく発生農場にいてワクチン接種済みでも殺処分される豚は、無念きわまると思います。
そもそも100%接種は無理なのに
これを理由に殺処分方針を採る農林水産省
解決の道は、マーカーワクチンの採用にしかないと考えます!
家畜衛生の幹部は国会答弁で、ワクチンを接種済みでも、中には抗体が上がらずウィルスを出すものがいるから発生農場の豚はすべて殺処分せざる得ないと答弁しています。これを認める限り、絶対に100%は無理なのにそれを前提として無策な殺処分を強行し、専門性を隠れ蓑に、問題が拡大しようとするところでは、これを覆い隠し問題化しないようとする行政の希望なき失政がつづいています。
感染経路をすべて、イノシシの持つ野外ウィルス由来としこれと判別できる遺伝子組み換えのマーカーワクチンを積極導入しようとしない行政の怠慢です。マーカーワクチンであれば、豚熱ウィルスが野外ウィルスによるものなのか、それともそれ以外に、例えば、弱毒化したワクチン由来によるものか、自然感染したものかはっきりわかります。
OIE(国際獣医機関)も、マーカーワクチンを使用して1年間豚熱の発生がなければ野外感染の可能性をゼロとして、豚熱清浄国として復帰できるとしています。現在のワクチンでは、イノシシがいるかぎり清浄化の承認はえられないのです。
行政当局は、たった4頭の豚を用いた国内試験で、海外のマーカーワクチンの効能を否定し、国内では15年は開発にかかるとしています。PIGJAPANで報告しているように、お隣の国、韓国では、国産で豚熱マーカーワクチンを開発、農場での発生をゼロに抑え込むとともに経口ワクチンとして野外散布、イノシシの豚熱抗体もマーカーワクチンで上げて、野外ウィルスの侵入をモニタリングしています。これもつい最近までは、韓国と日本は検査、衛生体制が異なるので参考にはならないと、取り付く島もない有り様でした。
また、ワクチン価格や生産力も国産のものより安価にできているようです。日本政府は人間のコロナウィルス感染症に関しては、世界中から経済力と例外を作らないスピードで対策を講じているのに、家畜に対しては今日の世界の流れから見れば、マーカーワクチンの開発、PCRをはじめとする検査体制のスピードアップと充実を目の当たりにすれば、日本の家畜衛生体制の遅れは明らかです。
打てば100%安全の「豚熱ワクチン神話」は、現在の豚熱発生状況から見れば崩れています。豚熱ウィルスがマーカーワクチン株か野外ウィルス株か型だけでもわかれば、防疫方法はまったく違ってきます。それこそ、口蹄疫のように空気感染と重ね合わせ、農場周囲の近接農場でワクチン接種済みでも全頭殺処分に拡がり日本の養豚産業を壊滅の方向に引っ張り込む恐れさえあります。
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