日本のアニマルウェルフェア最前線!

若手の放牧養豚への新規参入がはじまる!

ポイントは、野外での繁殖、分娩と古いタイプの放牧豚の飼養
                                       2023年8月

 

 今年20235月と7月に放牧養豚に参入してきた、若い力と接する機会が持てました。

お一人は、鹿児島県姶良市の月ノ灯牧場(つきのあかりぼくじょう)の30代の有村祐樹さん。もうお一人は、山口県長門市の「森の豚」を生産する20代の白川泰平さんです。

有村さんは、大手の黒豚生産農場で勤務後、家族の賛成もあり、黒豚母豚10頭で一貫経営開始し、今年で5年目になっています。

白川さんは、福岡でIT技術に従事していましたが、循環型の農業を目指し、2年ほど前から放牧養豚を開始し、中ヨークシャーを基礎に肉豚として10頭を、繁殖豚として5頭程度を放牧で飼養しています。

放牧というと、子豚を購入して野外肥育で放牧養豚を行うという経営も多い中、二人とも迷うことなく、野外での交配、分娩を実践しています。詳細は、それぞれのホームページをご覧ください。

何よりも、大切なのはその志(ココロザシ)と「豚が好き」という動機付け(インセンチブ)です。

産業にとり必要なのは、利益追求、経済性至上主義で世界水準に到達することではなく、自然循環、ストレスを最小にし、人と豚との距離を近づけることです。それこそ、アニマルウェルフェアではないでしょうか?

 

 

「月の灯」つきのあかり牧場

http://www.tsukinoakari.farm

 

50頭の一貫農場を購入。

母豚10頭の放牧養豚を経営する

有村さん。

月に一度開催する消費者、顧客との交流会では、バーベキューを主体に子供達が豚さん達と遊ぶのが楽しみとのこと。

 



広い放牧場で過ごす母豚と子豚たち。

分娩ケージは使わず、自然分娩でだいたい8頭ぐらいが、一度に離乳され自家更新しているとのこと。

施設に余裕があるので、自分で改造しながら豚にとって何が良い環境か考えながらマイペースで豚に合わせた施設を増設中!

 

種豚の繁殖はグループで雄雌混合で飼育し、自然交配することもあるが、一部、人工授精も用い交配している。

基礎となるバークの種豚は「渡辺バークシャー」由来のものが多いとのこと。

 

 

 

 

 

 


森の豚 山口県長門市の放牧で飼われる 中ヨークシャー

http://www.hyakusho-an.com

 

若きストックマン、白川泰平さんは東京出身。

営業でも活躍しており、森の豚と百姓庵の母体になっている「海の天然塩」、「レストラン」事業など、いろいろなプロジェクトに携わってきている。

豚と触れ合っていると、一番落ち着くとのこと。

販売、餌集めなどで毎日が忙しいがやりがいはあるとのこと。

ワラを敷き詰めた分娩豚房。

9頭生んだが、現在、授乳中は7頭とのこと。

子豚たちはよく小屋の隅から「脱走」するが、授乳の時間になると必ず戻ってくる。

この子豚たちも、人工授精で生まれたとのこと。

網は、野鳥やカラスよけ。

分娩舎の隣は肥育豚の餌場になっている。

中ヨークシャーで、子豚を(農)富士農場サービスから導入し、餌は地元の地ビール製造所から分けてもらったり、野菜、米など利用しているが、出荷まで280日ほどかけて熟成しているとのこと。