豚を観る シリーズ1
養豚の現場で、特に寒さが厳しくなると、衛生状態の悪化、環境管理、特に寒さ、湿度対策が問題になってきます。特に呼吸器系の病気や子豚の下痢等がぽっぽっ出ると、ひたすら、病気の方に、眼が向いてしまい、肝心の豚自体がどういう状態にあるのかを、忘れてしまうことが起こりやすくなります。
事故が多発しているときなどは、現場では余裕無く、とにかく、注射の徹底で乗り切ろうとする傾向があります。注射で抑えなければという状況は、往々にして、環境や飼養管理に対する配慮をわすれさせてしまいます。豚舎に一番で入ったら、まず、温度、湿度、空気の汚染具合を、豚の行動を観察しながらみます。次に餌の食べ具合を観察し、食い残し餌のこぼれなどチェックします。ところが、事故の多発時には、まず、注射器と薬を準備し、「治療」それから「通常の管理」というプログラムをくむところが多いようです。
一頭でも被害を少なくしようという気持ちが、注射という直接「効果」のある方法に向かうほか、企業養豚では従業員の立場で「治療していての事故」なら、管理ミスでないとの言い分もとうりやすくなります。しかし、養豚場の現場でまづ必要な事は、豚を観る事なのです。これは、広い意味で環境管理と「考えながら動く時間」を持つといえます。
昔は、掃除、給餌などしながら、豚を観ろといわれましたが、飼養頭数が多くなったいまでは、まず、豚舎全体を関連する処理施設等を含め観ることが管理のポイントだといえます。
これに費やす観察の時間は、母豚100頭の一貫経営でだいたい、1日に1時間30分必要だといわれています。
この効率的な観察の実施には、いくつかの、ポイントがあります。ひとつは、
豚舎 豚房に番号をつける。 必要なら、最高最低温度計、湿度計などを問題ある豚舎につける。 いつも、筆記用具、マーカー等を持ちその場で記録する また、書ける場所にかいておく。 そして、最大のポイントは、問題点解決の行動を即実施することにあります。