効率化の行きつく先は?



 あまり話題になってはいないが、ここ数年の養豚生産性の伸びは、目を見張るものがある。そのいくつかをあげて分析してみると

@種豚の産子数、離乳数の大幅な増加
 これまで、平均産子数10頭台であったが、ヨーロッパでの育種改良が進み、平均で13〜14頭記録するようになった。デンマーク、オランダなどでは、国レベルの生産性で、1母豚25頭出荷のレベルをほぼ、達成している。このように、産子数が伸びた背景には、1990年代中国から輸入された多産系でしられた梅山豚の遺伝子の組み入れに成功したためといえる。
 ヨーロッパの育種家は、選抜の成果だというが、1990年代産子数を伸ばすために、ひたすら、育種家は、胴が長い豚を、選抜していった。ただ、この選抜は、背骨と脚に負担をかけ、歩行障害を起こす豚が多く出た。これに対し中国系の多産を誇る豚は、体は短くとも腹が地上すれすれまで、垂れ乳頭も、16〜20近くまであった。脚はその割に、細く短足だが、結構体をささえる筋肉は、しっかりして、歩行障害は起こりにくい。
最新の雌種豚をみると、体型が半円形になってきているのに気がつくと思う。増大する産子数に対し、母豚を痩せさせないために、授乳期間中は、なるべく早くから「飽食」という、手段が採られている。
 この段階になると、豚の育種は、養豚家の手を離れ、コンピューターを駆使した遺伝子工学の世界に入ってしまいそうだが、大事なことは、体の柔らかさ、爪と体のバランス、歩様など見比べ本質的な種豚として持つべき形質を頭の中に叩き込むことである。10月7日、8日開催の養豚塾では、生理の基礎となる、体の資質についても勉強する予定。

A世界的なトレンド(傾向)となってきた肉豚の「生産性を上げるホルモン使用の増加」
つい最近わかってことだが、アメリカ 及び 隣国 韓国で「ラクトパミン」とよばれる、脂肪を抑え、赤肉量を増加させるホルモンの一種が、広範囲に使われ始めていることがわかった。これは、EU=ヨーロッパ連合の動物薬品の使用の許認可を持つ委員会が、このホルモン=ラクトパミンの使用を今年も許可しなかったという記事からわかったもので、アメリカ、韓国をはじめとする世界30数カ国では使用が許可されているという、記事からであった。
また、成熟した未去勢豚の雄臭を肉から出させないホルモン剤の使用は、日本でも許可は、されているが、一般化されてはおらず、千葉の畜産試験場などで、成績の検定がなされている。しかし、世界的には、アメリカ、EUでも許可されその使用が、農場でも始まっている。このホルモンは、20日令と70日令位の2回注射をすることで、雄臭を出すホルモン
を抑制できることで、アニマルウエルフェアー=動物の福祉 の立場からも、「海外の消費者からは歓迎されている」といわれている。肥育段階でのホルモン使用は、大いに注目する必要がある。