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ブタソバツルクサの栽培とその効果

岡山県立高松農業高等学校 畜産科学科 中家畜専攻

 
本稿は、岡山県立高松農業高等学校(岡山市北区高松原、石田正人校長)畜産科学科の生徒さんたちが、中家畜担当の森誠一教諭の指導のもと、「ブタソバツルクサの栽培とその効果」について試験し、結果をまとめたものです。この試験は、飼料価格高騰などを目の当たりにし、少しでも濃厚飼料の代替を、との思いをめぐらせていた森教諭が、このpigjapanのウェブサイトでブタソバツルクサのことを知り、山下哲生氏から苗を譲り受けたことがきっかけとなり始まったものです。(月刊養豚情報2009年7月号にも掲載)

  

1.はじめに

ブタソバツルクサ(和名・シャクチリソバ)とは、昔は豚の飼料としても使われていた飼料作物である。中家畜専攻では、この作物を栽培および肥育豚に給与することによって、効果的な肥育が可能かどうかを調査することにした。

 

ブタソバツルクサとは?

●分 類:タデ科、ソバ属 

●原産地:インド北部、ヒマラヤ地方〜中国中南部

●特 長:普通の雑草にも負けないくらい強い生命力・増殖力がある

 

 

 

 


葉:丸みをおびた三角形をしている

 

 花:花期は9〜11月、白い花を咲かす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ブタソバツルクサの生育状況



2.研究内容および方法
研究内容については以下の3点について、調査を行った。

@ブタソバツルクサの栽培および観察調査

A肥育豚への給与(300gずつ12回)

B試験区と対照区(給与してない豚)の比較

 
 3.結果と考察 
 ツルクサの生育は、発芽までの時間や、その後2ヵ月間の成長がゆっくりであったが、9月以降の成長は一度大きくなり始めたらその勢いは止まらずどんどん大きくなっていった。

 肥育豚の体測結果と臭気の結果は以下のとおりである。

 

      

 ※ 左が体重の比較。右は臭気の比較。

 

 4.まとめ 

 給与した豚を出荷して精肉にし食味の比較などもしてみたかったが、草が給与できる大きさ・数になるまで時間がかかった(5カ月)ので、今回は残念ながら肉の試食まではできなかった。

しかし平均体重は上のグラフからも読み取れるように、最初から最後まで試験区(8室)が対照区(7室)を上回り続けた。よってもっと多くの量のブタソバツルクサを栽培することができれば豚の肥育に効果的であると思われる。

臭気は日によって強弱の差があったが、全体的に試験区(8室)が対照区(7室)より臭気の低減を示している。信頼できうる数値までのデータが取れなかったので、今後もっと多くの量の草があれば、臭気対策にも効果的であると思われる。

ブタソバツルクサを食べる豚