全国の現場担当者ら40人が繁殖技術学ぶ

凍結精液、人工授精テーマに養豚塾開かれる



 通算131回となる養豚塾(塾頭・山下哲生ピッグスペシャリスト)の2011年第1回講座が10月7日〜8日、東京・高田馬場の会議室で開かれ、全国各地の養豚場の繁殖担当者ら40名が参加した。今回は「種豚の繁殖生理と人工授精+凍結精液によるステップアップ」をテーマに専門講師による講義のほか、実際に豚の生殖器を教室に持ち込んで解剖実習も行われ、参加者がより理解を深められるカリキュラムが用意された。

 初日のセミナー修了後は、養豚塾恒例の銘柄豚肉と豚ホルモンを食べながらの交流会が開かれ、今回は元気豚(千葉県)、LYB豚(静岡県)、そして山下塾頭が生産する英国純粋黒豚(BB)の3種類の銘柄豚肉の食べ比べも行われ大いに盛り上がった。

 冒頭、山下塾頭は「養豚塾は『現場目線で、すべての人に開かれている』ものと位置づけ、今回の講座も現場の管理技術はもちろんお教えするが、参加者の皆さんには単にそれを学ぶのではなく、『考える力』を持っていただきたいと思っている」と養豚塾の趣旨を参加者に伝え、「繁殖の整理と成績向上のポイント」と題して講義に入った。その中で山下塾頭は、「繁殖は栄養によって決まる」、「ホルモンと繁殖〜眼は口ほどにモノを言う」、「分娩・発情はお腹の子豚と母豚の共同作業〜産子数が多いほど予定日が早まる」、「発情適期は豚に聞け〜早い発情再来は良い分娩成績をもたらす」などのキーワードを挙げならが、繁殖の基礎について詳細に説明。引き続き(農)富士農場サービスの清水健司氏からは現場で起きやすい人工授精(AI)の諸問題と成功のポイントが解説され、その後、実際に豚の子宮や睾丸を教室に持ち込み、解剖実習を通して受精の仕組みなどに関する理解を深めた。

 2日目は、日本発の技術として注目されている凍結精液利用によるAIについて、その開発普及の先頭に立っている大分県農林水産研究指導センター畜産研究部の岡ア哲司氏による「繁殖成績アップ、雄の生理と現場で役立つ凍結精液利用のAI技術」について講義(同氏による凍結精液のメリットや技術的解説は月刊養豚情報2011年6月号14ページに掲載)が行われるとともに、実際に凍結精液を使っている山下塾頭が繁殖成績などの経過などについて説明した(詳細は、月刊養豚情報2011年6月号、7月号、8月号に掲載)。

 さらに、「夢の壺」と呼ばれる数千頭分の「豚の凍結精液」を保持し遺伝資源の保護に努めている、お馴染み富士農場サービスの桑原康氏からも保存期間による希釈精液の変化などについての講義が行われ、最後に山下、岡ア、桑原の三講師をパネリストにパネルディスカッションが行われ、参加者から出されたたくさんの質問に講師はていねいに回答した。なお、この第1回講座の詳細内容は、月刊養豚情報2011年12月号にて掲載予定。

※次回の養豚塾(2011年第2回講座)は、平成23年12月2日(金)、3日(土)開催。テーマは「農場長の役割」!





▲久々の養豚塾には全国各地の養豚場の繁殖担当者ら40名が参加した




▲「答えは現場にある」をモットーに農場指導に当たる山下哲生養豚塾塾頭




▲AI成功のポイントなど説明する富士農場サービスの清水健司氏




▲凍結精液普及の先頭に立つ大分県農林水産研究指導センターの岡ア哲司氏




▲「豚の凍結精液」を保持し遺伝資源の保護に努めている富士農場サービスの桑原康氏




▲熱心に解剖実習に取り組む受講生の人たち




▲実際の豚の睾丸も持ち込み仕組みを解説




▲銘柄豚肉とホルモンを食べながら盛り上がる交流会