養豚塾ニュース技術編 09/05
基礎の基礎 ウイルスと感染菌による発病を環境管理でシャットアウトするために
私は2005年、成田の動物検疫所で、豚の検疫に立ち会ったことがあります。その時、2週間以上にわたりおこなわなければいけなかったのは、朝晩の体温計による、豚の検温の記録でした。今 成田空港などで新型インフルエンザの水際での発熱チェックと検疫と、隔離政策が話題になっています。豚インフルエンザのこともありますが、ここで、あらためて、ウイルスによる病気の発病の仕組みを検討することで 問題の理解を深め どうすれば これらの病気から私たちの経営と私達自身も守れるか考えていきたいと思います。
<ウィルスと感染菌の大きさの違いを理解する。>
ウイルスと大腸菌などの感染菌などとの違いを理解する際のポイントは、その大きさを理解することにあります。ウイルスを「パチンコ玉」とすると 感染菌は、1建屋ほどの、おおきさになります。これを理解してもらえば、なぜ マスクをしなければいけないか、また、空気感染がウイルス病は一般に起きやすいか理解してもらえるとおもいます。
次に、大腸菌など大きい菌類は、抗生物質、抗菌剤、消毒剤などで、物理的に破壊し、その活動を抑えられますが、ウイルスに自体に対しては、それ自体を破壊、消滅させるものは、数少ないといえます。太陽の紫外線などは、それでもウイルスの活動停止に、効果があります。
そのために、体に抗体(ウイルスなどは、この抗体を造る原因物なので抗原といいます)を作り出さなければいけないのです。この抗体の生産を、発病させない程度に抑え、人工的に作り出したものが、ワクチンです。したがつて、ワクチン=弱毒という 漢字の略(あて字)があてられています。家畜のウィルス性の病気で問題となっている口蹄疫では、こんな逸話があります。
養豚王国デンマークとドイツは、国境は接していますが、運河で、地続きの土地は、分断され橋での検問強化で、病気の侵入には厳しい防疫体制がとられています。ドイツ北部も養豚生産が盛んですが、過去何回か口蹄疫の発生を見ています。この発生が起こった時期、ドイツからデンマークに向け、強い季節風が吹きました。その時期、太陽の光が届かない、ドイツからは数百キロは離れているのですが、海岸沿いのデンマークの農場から発生が起こったという話があります。
<ウイルスの予防は、十分な換気とホコリとストレスを最小にする管理>
ウイルスなどの、微少なものなので、これらが体内に入ると免疫系を刺激し、これを体内に取り込んだ動物に抗体生産を促します。この過程で発生するのが、発熱で、これをチェックしなければいけません。ウイルスが無くても、細かいほこりが充満しているような豚舎(古い糞塊が、そのまま、放置されているような豚舎=これからは、糞毒素 エンドトキシンという物質が生まれる)は、呼吸器系の病気が多く、事故率も高いものです。これから、秋までは、換気を重視の管理をとりましょう。また、豚体噴霧などでの、ホコリを抑えるのも効果的です。免疫力を弱める原因として、ストレスがあります。特に、最低温度と最高温度の差が10度以上になると体調をくずしやすくなります。これらストレス要因を理解する上でアニマルウェルフェアーの考えは大いに役に立ちます。
養豚塾ニュース経営編 09/05
販売単価のアップをめざす。 キーポイント 「細かく売る」
「50kgの精肉(1頭分)を売ってみよう。」
今年は、飼料代金こそ下がりましたが、豚価は、一向にあがらず経営は、これまでになく厳しい状況だと思います。利益の確保のためには、成績、経営、飼料、経費の見直しによる、コストの削減と販売単価のアップをめざさなければいけません。
販売単位のアップという面では、従来、いかに業者に枝肉を高く売るかが、問題でした。しかし、自分たちの生産物を理解するためにも、これを 精肉で売る努力さらに、内臓までトライしてみるのはどうでしょうか。
<ポイント1 それほど高くない枝肉カット料>
屠畜場で、枝肉から骨を抜いてもらいブロックの肉に分ける場合、それぞれ、ロース、肩ロース、バラ、ヒレ、ウデ 、モモ などに大きく6部位に分けられます。この際、脂肪を何ミリにするか(普通 8から10mm)指定できますが、良質の脂ならば、無整形(皮をはいだ状態)で持って行けます。生体115kgの豚ですと、前述したカット肉の総量は50kg程度となります。これまでにしてもらうのに、程度の差はありますが、1頭2000〜3000円の範囲にあるようです。まず、ブロックで、知り合いに売ってみましょう。手間はかかり 部位による違いはありますが、枝肉で売るより1〜2割は、高く売れるでしょう。なによりも、消費者に直接 自らの作る豚肉を食べてもらえば どういう方向ですすむべきか、目安がつくでしょう。
<ポイント2 セットで冷凍で売る>
わたしは、自ら生産した黒豚をカットしかつスライスにしてロース バラだけでなく1パック500gで「黒豚お試しセット」として大分県の田舎の道の駅で冷凍で売ってもらいました。単価は1500円。それでも、月に50パックほど売れました。冷凍にすれば加工してから3ヵ月は、賞味期限にできます。管理も楽です。冷凍というと、加工、輸入豚肉のイメージが強いですが 売る場所にもよりますが、消費者にも十分に支持してもらいました。また、残った肉は、冷凍にして加工するか、精肉として食べても味は、それほど落ちないと思います。
<ポイント3 細かいものを売る>
最近、豚の内臓肉に熱い視線が向けられています。
ホルモンの炭火焼きが、定番になってきましたが、生産者手取りが400〜500円の内臓が、切り分けにより2万にも3万にもなるのです。この内臓は、生産者が希望すれば、原則、分けてくれます。また、舌、首肉=豚トロ、コラーゲン人気の豚足などは、ゴミ 皮
として 処理されていたものが、小分けにより ユニークな商品として生まれかわつています。
鳴き声以外は、すべて役に立つという豚に、より商品価値をうむような提案ができます。養豚塾では、交流会で豚肉の食べ比べを行うと伴に、黒豚の内臓など賞味してもらう予定です。
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